上川河口から10数キロにわたりヨシ原は広がり、また、その河口を見下ろす山に、ススキの茅場が広がっています。
冬に行われるヨシ刈りは最近「風物詩」になりカメラマンや俳句の愛好家などが季節になると多く訪れ、またヨシ原は
「日本の音風景百選」にも選ばれているのです。この周辺の水域は海水が入り込む、海水と真水が入り混じる汽水域で
その微妙な塩分の混ざり具合によって ヨシは硬く丈夫に育ち、他の地域にはない品質の良さで知られています。
ヨシは “あし”ともいいます。水辺に自生することから、この辺りでは“浜茅”と呼び
ススキは浜芽( ヨシ)と区別して“山茅”と呼ぶこともあります。しかし“茅”という
植物はなくヨシやススキ、麦ワラや稲ワラなどが、職人の手によって屋根に上げられ
葺かれることでこれらが“茅”になるのです。

日本中のヨシ原や茅場が、コンクリート護岸や開発によって壊されてきた時代の中
幸運なことにこの場所のヨシ原や茅場は取り残されました。
しかし、手入れを行い新しい芽を出してやらないと、良いヨシやススキは育ちません。
12月から3月いっぱいにかけて刈り取りや野焼きを行うことよって
真っ直ぐで丈夫な材料が育つのです。

またヨシ原や茅場を手入れするということは、掃除をして川や山をきれいにしているような
ものなのです。良い材料を供給できるだけではなく、環境浄化にも役立ち
葦原にすむ魚や動物野鳥の棲みかを提供し、豊かな環境づくりにつながっているのです。

私たちは、身近にあるこの良質な材料を何とか活かしたいという思いで仕事を続けています。


私たちが全国に渡って屋根を葺くことを可能にしているのは
この良質な材料を確保することができるからです。
需要や刈り手の減少で、ヨシやススキを全て刈り取ることは出来なくなりましたが
今でも建坪50坪の民家を20棟前後全面葺き替えることが可能な量を毎年出来ています。

ヨシやススキを刈り取ることで、北上川や里山の環境浄化や維持に役立ち
文化的にもこの時代に絶やしてはならないと
思うがゆえに、割りの合わない試みに投資しています。

時代から取り残されたはずのヨシ原や茅場ですが
環境と言う時代になった今これからもこの材料をもって可能性を
探っていきたいと思います。