後継者不足で伸び悩む、茅葺き屋根業界は「発展」というよりも「保存」活動としての仕事振りが見られるケースが大半で「これからの茅葺きの在り方」という建造物に
茅葺きを取り入れるという進展的な話題はなかなか表面にはでてきません。
ヨーロッパのかやぶき
当社では海外視察などを毎年行っているのですが、環境問題に敏感な
西ヨーロッパ(オランダ、ドイツ、デンマーク)では多くの茅葺きが見られます。
特にオランダでは、新築で年間約3,000棟建てられており、茅葺きが
裕福層のステータスのシンボル とまでなっています。

茅葺きがヨーロッパで好まれる理由の一つとしてリーズナブルなコストでの
施工が出来るという点も見逃せません。これは安価で品質の高いヨシを
調達していることと、茅葺き工法の改良により短期に施工が可能になり
更には安全性の向上としてオランダでは、耐火ボードを茅葺きの下に
張ることにより火災のリスクを飛躍的に低下させるなど
業界単位で茅葺きの普及に努める努力をしております。
かやぶき職人は後継者不足
では国内ではどうでしょうか?
昔ながらの天然素材で出来た屋根が忘れられようとしています。
茅葺きの家や神社仏閣は年々減少し、今や注意深く見ないと
なかなか見られない存在にまでなっているのが現状です。

それはなぜか?茅葺き住宅の仕事は年々減少し、各地の茅場が減っている
ことから、材料の確保が難しい、しかも職人の高齢化による
減少と後継者不足によって周りに職人がいない、茅葺きのコストがあまり
にも高い、また茅葺きの民家=昔の家のため隙間風が入る等で
寒い、そして法的規制で茅葺の新築を建てることが非常に難しくなって
しまったことなど、ネガティブな要因しか見当たりません。
これは「現代の生活への不適合性」という決定的な理由が大きな原因です。

この現代の不適応性に対処すべく、私たちは早期に取り組むことができるコストの
問題点として、茅葺き施工コストを下げるため (1)材料のヨシの調達コストを下げる
(2)合理的な工法の導入によって工期を短縮し施工工費を下げるといった
2点を中心にこれらを今後将来に向けて研究しております。
弊社では若手の育成にも力を注いでおります 被災前に弊社があった場所は津波で全壊
また若手の育成に力を注いでいます。20代の若手7人が、熟練の茅葺職人と
共に働き、現場を通じた、技術向上、そして育成は欠かせない事です。
何十年もかけて学んできたベテランのスキルは一朝一夕で得る事は出来ませんが
数十年先を見据えた育成と鍛錬を会社ぐるみで行うことで
短縮する事を可能にしております。 若い息吹とベテランの腕。
これが熊谷産業の信用を支える柱なのです。
保存の茅葺きから築く茅葺きへの移行は既に始まっています。

20年30年後、さらにその先の時代に向け、私達は後世へ、茅場の環境を整え
資源を活用し、今まで培ってきた技術やココロを伝えていく職人の育成に
努めていく必要を感じてやみません。エコロジー、建築物の環境との調和から
波及した、日本の伝統建築工法を見直され、私たちは現代の建築に
「茅葺き」を 取り入れられる事を信じ日夜研究しているのです。

しかし、北上川周辺の下流にあるほぼ全ての集落は、3月11日に発生した高さ10mにも及ぶ大津波により
家屋、船、そして多くの人達がのみこまれてしまいました。
被災した多くの人が避難所や仮設住宅で生活していますが、違う地域に引っ越してしまう方も多く
集落・部落としての機能を失いかけています。

以前は職人をはじめ、加工、事務を含め、約20名でこのヨシを扱う仕事に関わっていましたが
現在では、刈り取る人材も企業もヨシ原の整備までは手が回らない状況且つ
予算的にも困窮している現状です。ヨシ原の管理を中心として生活していた方々は
職を失ってしまっている状況で一刻も早く雇用を復活させる必要があります。
ヨシ原の保守、保全において欠かせないのは人。ヨシを刈り、ヨシが育つ環境を整える為には
人員が必要になります。しかし、前出の通り、管理していた人も震災の影響で多くが死去
または移住してしまった為に、ヨシを管理していくためには人手不足は否めません。